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2014/04/09

曲の本質

 こんばんは。最近は新入生が入学してきてバタバタしていますね。最高学年としては誰にも負けないくらい知識を身につけていたいものです。

 さて、今回は楽曲分析のお話です。アナリーゼとも呼ばれますが、これは旋律や和音の進行、楽器の使い方などを分析するということです。最近話題の「アナと雪の女王」のあの曲を例にとって考えていきましょう。


 例えば下の楽譜はこの曲のサビにあたる部分ですが、権利関係の都合上完全な楽譜としてはアップロードできないので、ピッチのみを示したものです。同じ音を反復している場合は一つにまとめたりして単純化しています。手書きですがご容赦ください。




 最初メロディーが順次進行(隣の音に進むこと)でラ♭まで上がってきます。この曲はA♭メジャーなので、サビの入りはトニック(調の基になる音)で一旦落ち着いているようですね。ミ♭→シ♭では音域が広がりました。その後、最初と同じファ→ソ→ラ♭の形を経てフレーズが終わります。ちょうどカッコが書いてあるところです。

 再びファ→ソ→ラ♭と進み四度下降までは同じですが、そのあとは勢いをつけてドまで跳躍しています。前のミ♭→シ♭に比べると、より盛り上がる進み方です。次のうねった部分でレ♭が現れさらに音域が広がります。ここでまたフレーズが終わります。

 ちなみに、ここまで最高音はラ♭→シ♭→ド→レ♭と上がってきました。楽譜でいうと赤で塗ってある音です。さて次の部分、ミ♭が現れてこのサビ最高の盛り上がりを見せます。これはA♭メジャーのドミナントにあたりますね。そしてミ♭をもう一度歌い聞き手の印象に残そうとしています。その後はサビが収束するように最低音まで下降します。

 また、コード進行は以下のようになっています。

A♭|E♭|Fm|D♭
A♭|E♭|Fm|D♭
A♭|E♭|Fm|D♭
Cm|B|D♭|D♭

 見て分かるように、三回目までは同じコードの繰り返しです。和音進行は単純ですが、一回目は高音域のピアノ、二回目は音域はそのままで音が増える、三回目は音域が下がり、ストリングスが追加されるというように変化があります。三回目は最高音が出るポイントなので、それを支えるための処置でしょうか。何度も繰り返された後でBというこの調固有ではないコードが現れます(ちなみにこれは準Ⅲ度調のトニックです)。下降してくるだけのメロディーに色彩感を加え、ハッとさせる効果がありますね。

 他にもコード進行からⅣ→Ⅰという形が見て取れます(D♭→A♭)。これはアーメン終止、もしくはサブドミナント終止と呼ばれるもので、Ⅴ→Ⅰという進行に比べると少し柔らかい終わり方です。これが毎フレーズの終わりにあることで優しい雰囲気を出しているのでしょう。

 繰り返しますが、サビの入りはトニック、最高音はドミナントとここぞという所に重要な音が入っていました。開始和音がトニックなのでA♭もE♭もテンションではない音として処理されます。これにもいくつかの効果があることは言うまでもありません。


 さてこのように分析をしてみると、メロディーは一貫性があり、非常に整っています。だから「耳に残る良い旋律」と言われるんでしょうね。旋律は出尽くしたと今まで考えていた私ですが、この曲には何か引っかかるものがあり分析してみました。こんなことを考えながら聴いているのはまるで評論家ですね。何ともつまらない楽しみ方です。


 残念ながら今回はサビのみに限って分析をしたので、歌詞や伴奏などの分析は省略してしまいました。イントロからアウトロまで通して分析すればまた異なった見方ができるでしょうが、ひとまずここで終わりたいと思います。興味を持った方はもっと説明しますので。それでは。

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