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2017/01/15

戦後の電子音楽とMax/MSP

おはこんばんにちは。ぴよたくです。

みなさんお元気ですか? 僕はやることなすことが一貫しておらず、頭がお花畑です。ラジオやりたいよね。

それは置いておいて近況報告。4月からも東京に残ることにしたので、2・3月は個人事業主として色々と準備をしようと思っています。ホームページとか、コンテンツとか、作曲とか。

難しいよね〜。ネットを有効活用するのって。SEOとか考えたほうがいいのかしらって感じ。そもそも検索してここに来る人って現段階ではいないと思うけど。


それも置いておいて、修了論文が佳境に入っております。

テーマをかなり平たくいうと「電子音楽やろうぜ〜」って感じ。

今でこそ「電子音楽=テクノ・トランス・ハードコア」と思われていますが、第二次世界対戦後の電子音楽ってどんな感じか知っていますか?

言わば現在の電子音楽のご先祖様ですよね。何曲か紹介しようと思います。

《Studie II》(1954)

例えば、非常に有名な作品、カールハインツ・シュトックハウゼン《Studie II》があります。1954年に作られた、世界初の電子音楽作品です(諸説あり)


下のような楽譜もありますが、これを見て演奏する訳ではなくて、あくまでも設計図としての役割を果たしているだけの楽譜です。


上段が音のピッチと長さ、下段は音量の変化、そして中段にはそれらのテープ上での長さが示されています。

《Artikulation》(1958)


シュトックハウゼンの少し後の作品ですね。音色に幅があるのが分かります。

《I Am Sitting In A Room》


個人的にはこれが一番お気に入りですね。非常に長い(※この録音では45分)のでパソコンで視聴することをオススメします。

この作品はもはやコンセプト重視というか「読み上げた詩をマイクで録音し、それをスピーカーで再生する。その音をまたマイクで録音し、それをスピーカーで再生する」という繰り返しの曲です。

そのうち部屋の残響の特性によって徐々に言葉が崩壊していきます。リバーブのかかり具合が強くなって最終的にはフィードバックみたいになる、であっているでしょうか。


この曲は録音再生技術がなければ実現できなかった曲ですから、仕組みは単純ですが非常に面白い試みですよね。

Max/MSP

上に挙げたような電子音楽は当時の機材を使って作られていた訳ですが、それゆえどうしても大掛かりになってしまうんですよね。ですから、修了論文では「システムの中心にコンピューターを据えることで効果的な音響を作ってみよう」という内容にしました。

コンピューターで使える音楽ソフトにはCubase、LogicなどのいわゆるDAWがありますが、今回はMax/MSP(現在の名称はMax)というソフトウェアを用いて組み立てることにしています。

そのMaxですが、こんな感じのソフトです。


一般的なソフトウェアは大方やれることが限定されているんですが、このソフトは視覚的にプログラミングを行うソフトウェアなので、自由度が非常に高いんです。

小さな箱を組み合わせて、エフェクター、シンセサイザー、レコーダー、プレーヤーが作れるのはもちろんのこと、さらに高度なシステムを組み立てることができます。

例えば上に挙げた画像では

●[adc~]でパソコンに接続されたマイク(ステレオ)の音を入力、[+~]で左右の音を足し合わせてモノラルにしている

●最上部にあるスライダーで0~127の数値を指定し(上例では84)、[* 10]で10倍している

●[cycle~]は正弦波を鳴らす箱で、840Hzの音がなる。

●モノラルにした音に1秒間に840回のビブラート(音量を揺らす)をかける

●横向きのスライダーで音量を調節し、[dac~]から音を出す。

それで、こういう音になります。0'43"からはバッハの平均律〜を弾いています。


たったこれだけで金属的な音になってしまいます。リングモジュレーションですね。

さらに色々な箱を組み合わせて、時間経過とともにエフェクトのかかり具合を変化させたり、入力された音を分析して音程ごとにエフェクトを変えたりすることも可能です。

このソフトを効果的に使って、より実験的な曲を作って見ましょう、というのが修了論文のテーマでした。

ただこのソフトウェアって自由度が高すぎて一体何をしたらいいか分からなくなってしまうんですよ。しかも組み立てたいシステムの原理が分かっていないとMax上で組み立てられませんから、意外と難しいんですよね。

それでもこの利便性たるや、他のソフトウェアを圧倒的に凌駕しています。ですから次のライブではMaxをメインシステムに据えてやろうかと目論んでいます。

Bluetooth対応の鍵盤があればシステムを最小化することができる! 最高!


興味がある方はこちらから体験版をダウンロードしてみてください。予め用意されている豊富なサンプル群、アーティストパッチで遊びながら、少しずつ使い方を覚えていくのがいいでしょう。

それとですね、今日紹介した電子音楽についての本とMaxの本(少し古いやつ)を紹介しておきます。特に左のスコラシリーズは坂本龍一さんが書いているだけあってオススメです。


それではまた!(2017/06/10更新)

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